時空警察庁公安部 AN案件 保存資料 A-0197 - 8/8

 
理人へ 
 
君がこの手紙を読んでいるということは、私はもう死んでいるということだろう。
…と書いてはみたが、実のところこの手紙を理人の手に渡すつもりは毛頭ない。書き終え次第、他の廃棄書類と共に焼却処分へ回すつもりだ。
本人の目に触れさせるつもりのない手紙というのも可笑しな話だが、決意表明のようなものだと思って欲しい。 
 
君は実直で生真面目だから、突然のことで驚いただろうと思う。長年バディを組んでいた君に何も教えなかったのは偏に私の意志だ。
決して理人のことを信頼していない訳ではない。むしろその逆なのだ、と言って君は信じてくれるだろうか。いや、きっと私がそう言えば理人は信じようとしてくれるだろう。
君のそういうところを私はとても好ましく思っている。同時に心配でもあるが、真白隊員がきっとフォローしてくれることだろう。彼は優秀な人材だ。若い隊員故に手を焼くこともあるかも知れないが、そういった経験も理人自身の成長に繋がるだろう。
君はただ自分の信じる道を真っ直ぐ進めば良い。その結果何があっても私は君の味方であり続けよう。それが私の誇りだ。 
 
 
最後に。 
 
君の見る未来が明るいことを祈っている。